犬の耳

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読んだ本、聴いた音楽、観た映画などを忘れないための「いぬのみみ」です。くらしのお役立ち情報もお伝えします。

佐々木健一『美学への招待』


概要(アマゾンより)

二〇世紀後半以降、あらゆる文化や文明が激しく急速に変化しているが、芸術の世界も例外ではない。複製がオリジナル以上の影響力を持ち、作品享受も美術館で正対して行うことから逸脱することが当たり前になってきている。本書は、芸術が、いま突きつけられている課題を、私たちが日常抱く素朴な感想や疑問を手がかりに解きほぐし、美と感性について思索することの快楽へといざなう、最新の「美学入門」である。

  

美学への招待 増補版 (中公新書)

美学への招待 増補版 (中公新書)

 

 

みなさんは、「美学」っていう言葉を聞いたことはありますか?おそらく、「ない」という人が大半でしょう。もしまわりに「美学」を勉強している人がいたら、「芸術の哲学」のことだよ、というかもしれません。「芸術」と「哲学」というただでさえ難しそうなものをかけ合わせたものだから、とんでもなく難しいに違いない。事実私もそう思っていました。

 

今回取り上げるこの『美学への招待』は、そんな難しそうな匂いのする「美学」の世界に、美学の第一人者ができるだけわかりやすく誘ってくれる本です。この本は教科書ではありません。ただ、私が読み終えた感想は、「美しいとはなにか」ということを考えるきっかけを与えてくれる本であり、そのための切り口を提供してくれる本だ、というものです。

 

私達は何に対して「美しい」と感じるのか?「美しい=芸術」の図式は、便器に「泉」という名前をつけた作品が出展された後の世界では必ずしも成り立つわけではないでしょう。「現代アート」をみて「え...?」と思う人も少なくないと思います。

 

本書はそれらに答えを与えるものではなく、むしろ考える枠組みのようなものを与えてくれるものです。

 

今週のお題「○○の秋」、○○に「芸術」を入れて、『美学への招待』を受けてみてはいかがでしょうか。

 

 

美学への招待 増補版 (中公新書)

美学への招待 増補版 (中公新書)