犬の耳

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読んだ本、聴いた音楽、観た映画などを忘れないための「いぬのみみ」です

フリッツ・ラング『メトロポリス』


あらすじ

近未来、超高層ビルが立ち並ぶ都市メトロポリス。科学は発展していたが、労働者たちは地下の工場で使役され、支配者のみが地上で豊かな生活を送っていた。あるとき、支配者の息子フレーダーは労働者の娘マリアに恋をする。二人は階級社会に矛盾を抱き、労働者たちの間でストライキを起こそうとするが……!? ナチスが台頭する前のドイツで、近未来を大胆に描き出したF・ラングの傑作。「SF映画の原点にして頂点」と称される作品。

 

1927年のディストピアSF映画である。舞台は近未来の都市メトロポリス。大都市は繁栄していたが、それらを支えるのは地下に住む労働者たちである。

 

冒頭部分、工場に向かうエレベータに乗っているやつれた労働者たちを見て、私はすぐに渋谷駅で平日の朝見かけるゾンビのようなサラリーマンの集団を思い出した。それらはあまりにも似ていた。

 

労働者たちは、心の救いを求めて若い女性マリアが演説する集会所に通う。集会所では、「バベルの塔」の話などキリスト教的な説法がなされる。

 

メトロポリスの支配者の息子である主人公は、そんな都市の裏側など何も知らないまま無邪気に過ごしているのだが、ある日偶然地下の惨状を目にする。同じ頃、彼はマリアに恋をする。

 

マリアは労働者を前にして、「脳」と「手」のたとえ話をする。ピラミッド建設を命じた「脳」の理想には思いやりがなく、実際にピラミッドを作った「手」たちは「脳」の理想が理解できない。そんな「脳」と「手」をつなぐのは「心」であり、いつか「心」=調停者は現れると。言うまでもなく、「脳」はメトロポリスの支配者たちであり、「手」は労働者たちのことである。

 

同じ頃、メトロポリスの支配者層たちは人間の代わりに労働をするロボットを発明し、労働者が不要になることに気がつく。

 

やがて労働者たちは支配者層に扇動されて暴動を起こし、メトロポリスは壊滅寸前になるのだが、最後には主人公が「心」となり、「脳」と「手」をつなぐ。そして物語は終わりを迎える。

 

およそ100年前の無声映画だが、「AIが人間の仕事を奪う」など今日的なテーマを多分に含んでいる。また、「脳」と「手」の話は、身近にも営業数字を上げる「上司」と過労死する「部下」、会社の上層部と現場など、いくらでも例を見いだすことができる。

 

見て損はない作品。

 

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