犬の耳

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犬の耳

読んだ本、聴いた音楽、観た映画などを忘れないための「いぬのみみ」です

アンドレイ・タルコフスキー『ストーカー』


[あらすじ]

 隕石の落下か、宇宙人の残した痕跡か――。
地上に忽然と出現した不可解な空間「ゾーン」。
ゾーンの奥には人間のいちばん切実な望みをかなえる「部屋」があるといわれ、そこへの案内人は「ストーカー」(密猟者)と呼ばれた。
武装した警備隊の厳重な警備をかいくぐり、命がけでゾーン内へ侵入するストーカー、教授、作家の3人。
「肉挽き機」と呼ばれるパイプなどいくつもの障害を乗り越え、彼らはなんとか「部屋」の入り口まではたどり着くのだが…。

 

映画好きであるアメリカ人の同僚から勧められて本作を観た。原作は『路傍のピクニック』というSF小説らしい。タルコフスキーの作品は初めて観た。時折映し出される水などの映像の美しさ、音にはすぐに引き込まれた。

 

「作家」「物理学者」そして「ストーカー(日本語で普段使われる意味とは異なり、ここでは「追跡者」くらいの意味合いである)」。3人の男が時に哲学的な議論をしながら「ゾーン」へと向かう様は、安部公房の小説『S・カルマ氏の犯罪』を彷彿とさせた。一応主人公は「ストーカー」であるが、作者の視点は客観的で、登場人物のうち誰が正しいといったことはない。SF映画だが派手なアクションなどは一切なく、極めて観念的な描写である。

 

望みが叶う部屋。そこにたどり着いた主人公たちはどう決断するのか。彼らが「部屋」を巡って交わした会話には、人間の本性と存在に関する奥深い洞察が含まれていた。

 

秋の夜長にオススメの一作。

 

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